天気の良い日のスキー場で、昼食・休憩に入った食堂から出た時に「眩しい…」と感じることがあります。
真冬であっても、真夏と比べると弱いながらも紫外線は降り注いでいます。スキー場・ゲレンデでは雪面からの反射が強く、市街地と比べておよそ2倍も紫外線量があることはゲレンデは紫外線2倍!スノボ女子は日焼け対策必須で紹介しましたが、今回はスキー場特有の紫外線による障害・疾病「雪目」についての原因と予防対策について、です。
正式な病名としては「雪眼炎」といいます。強い紫外線を過剰に受けることで、眼が炎症を起している状態です。立派な?疾病です。
スキー場・ゲレンデでは、太陽から直接の紫外線はもちろん、雪面から反射される紫外線を合わせると、市街地のおよそ2倍程もの紫外線が眼に入ってきます。1月でも晴天時なら市街地の4月並み、3月になると7月並みの紫外線量があります。
ゲレンデがキラキラ輝いて見える、昼食後など建物から出た時にすごく眩しく感じる、真夏のように目を自然に薄目にしてしまうのはこのためです。
眼の角膜、瞳(黒眼)は可視光線だけでなく、紫外線もおよそ9割を吸収するようになっているので、何の防御・対策をせずにそのまま居続けると、角膜の細胞が傷つき、眼に炎症を起こしてしまいます。
これが雪目(雪眼炎)です。つまり、雪目とは「眼が日焼け」することにほかなりません。
ビーチや、オゾン層の薄い高山でも同じように過剰な紫外線を受けることで眼に炎症を起こすことがありますが、真夏の、雪の無い場所でこのような状態になったとしても、この症状・病名を「雪眼(雪眼炎)」と言います。言い換えるとスキー場・ゲレンデのような一面雪に覆われた場所では、とりわけ雪目になり易いということです。
角膜の細胞が傷つき、眼に炎症を起しているのですから、眼にゴミが入った時のように「眼が痛い」「眼がゴロゴロする」と感じたり、見た目にもすぐ分かるほど「眼球(白眼)が充血する」「瞼が腫れる」といった症状がみられます。
ただ、紫外線をたくさん浴びてしまったからといってすぐに症状が現れるのでは無く、スキー場からの帰路で「眼がショボショボする…」と感じるのが初期症状、その日の夜、または翌朝に具体的な症状が出てくる、痛くなるのが普通です。
ヒドイ時は「涙が止まらない」「痛くて眼が開けられない」「瞼がパンパンに腫れあがる」になることもあります。女子だと外出できないくらいヒドイ顔になっちゃうかも…
雪目の予防は単純です。眼に入る紫外線を減らすだけです。
レンズにUVカット機能があるゴーグル、またはサングラスを着用するだけで、紫外線の多くを遮断することができます。
注意したいのは安物(値段で判断すべきでは無いかもしれませんけど)の、UVカット機能のないゴーグル・サングラス。単なる色付きのレンズは紫外線のほとんどを透過してしまいます。これでは「雪目を防ぐ」目的としては意味がありませんので要注意です。
ちなみに、紫外線による雪目防止には「やや明るめのレンズ」の方が有効です。濃い色のレンズだと暗い分眼の瞳孔が開いてしまうので、紫外線が目の奥に入り易くなってしまうんですって。ゴーグル選びは難しい?も参照を。
もしもUVカット機能の無いゴーグルをお持ちなら、リフトに乗っている時は目を閉じるようにする、滑っている時以外は薄目にする、などを意識するだけでもかなり効果はあります。正午前後の日差しが最も強い時間帯だけでもできるだけ実行するよう心がけましょう。
スキー場からの帰り道で「眼がショボショボする…」「涙が出る」などの兆候を感じたら、コンタクト使用者はすぐに外しましょう。できるだけ目を閉じて眼を休ませる、目薬(紫外線ダメージケア用が好ましい)を差す、目を閉じて瞼の上から10~15ほど冷やすことを何度か繰り返す、などの初期対応も効果がありますが、痒みや痛みを感じても決して瞼をこすったりして触わらないようにしましょう。
実は眼の角膜細胞は再生する能力がとても高く、程度次第ですが雪目は概ね翌日の夜、または翌々日の朝頃には回復、痛みや瞼の腫れも引いてしまします。
でも、やっぱり素人判断で「雪目」と断定するのは少し危険です。かけがえの無い自身の“眼”なのですから、軽度だったとしてもやはり眼科へ行くことを強くお勧めします。
「すぐに治るなら平気」って、決してタカをくくってはいけません。
白目が充血すると、白くない分紫外線を反射しづらくなります。充血した眼でさらに強い紫外線を浴び続けると、場合によっては充血の跡が白目に残ってしまう、茶色く日焼けしたような白目になってしまうかも知れませんよ。
毛細血管の跡が残る白目は再生されることなく一生残ります。さらに、紫外線による眼へのダメージは結構深刻で、ひどくなると角膜炎、白内障など重大な目の病気にも繋がる可能性もあります。
取り返しの付かないことにも成りかねない雪目。スノボやスキーへ出かける際には、十分に注意して楽しみたいものです。