早い時期からの降雪に恵まれた2017-2018シーズン。全国各地で続々とスキー場の営業が始まり、いよいよ本格的なスキー・スノーボードシーズンに突入!ゲレンデに立てる日が待ち遠しいですよね♪
逸る気持ちを削ぐようなタイトルで心苦しいのですが、今回は注意喚起が中心です。
全国スキー安全対策協議会のスキー場傷害報告書レポートによると、ここ数年の統計上ゲレンデ(管理された区域のみ)で怪我をする人の割合はおよそ0.01%。
スキー場に怪我として報告された人の数が根拠となっていますので、打撲や擦り傷、軽い捻挫など我慢した怪我は含まれていません。
さらに、同レポートによると、2016/2017シーズンのスキーやスノーボードでの事故による死者・行方不明者は15人。
調査対象は協力47スキー場(未管理エリアを含む)のみで、しかも2017年2月単月の人数です。日本全国には大小合わせて600以上のスキー場が営業しており、単純計算すると15人×4ヶ月×13(600/47)=780人もの死者・行方不明者がいることに…
スキー・スノーボードを楽しむ人の人口は580万人とされています(日本生産性本部「レジャー白書2017」による)ので、大怪我、または死者・行方不明者のいずれも「万が一」という言葉に以上の比率となっています。
事故・怪我は天気や時間帯とは因果関係はなく、スキーとスノーボードでは、ややボードの方が高率ではあるものの、極端な差はありません。
男女比率的には、スキーヤーは男性が55%、スノーボーダーは男性が65%と、スキー・ボード共に男性が高率となっているのは「負傷時の速度」や「技術レベル」と比例しているようです。
スノーボーダーの怪我は20代が半数以上を占めますが、これはスノーボーダーの年齢比率によるものと考えられるなど、保護者や学校関係の方なら興味深いレポートになっていますので、詳しく知りたい方は報告書.pdfを参照ください。
大怪我や死亡事故に至ってしまうのは、スピードの出しすぎが主な原因です。
立ち木や岩、人間同士の衝突、自己転倒などのいずれも、自身の滑りをコントロールできない速度、暴走が引き起こします。先の報告書でも初心者・初級者は怪我の比率がとても低く、事故転倒が中心であり、中級者は衝突が中心であることから明らかです。
初級者は谷側の板が雪面に引っかかる「逆エッジ」で転び、上中級者はジャンプ時に転倒して負傷する例が多く、このあたりからも、怪我は自身のスキル以上の滑りをすることで起こることが見て取れます。
“飛ぶ”ようになったらヘルメット着用必須と知っておきましょう。
軟らかいゲレンデ・雪を好む日本国内での着用率はスキーが36.1%、スノボが16.4%に留まり、ヘルメット輸入販売会社によると「ファッションが優先、ヘルメットはダサい印象」なのだそうです。これは、専門誌がニット帽の写真を比較的多く使っていることが影響しているのだとか。
スキーより自己転倒の多いスノボは、頭部を怪我する頻度が高いことが特徴で、脳振盪や外傷性健忘(一時的な記憶喪失)がとても多く報告されています。
脳振盪は骨折や捻挫などの外傷とは異なり深刻なもの。社会生活にも支障をきたすような慢性期症状が生じる可能性や、対処を間違えると死に至ることも有り得ます。
ヘルメットをかぶれば頭部外傷の危険性を下げられます。最低限“飛ぶ”ようになったら、ヘルメット着用は必須だと覚えておいてください。
オフピステ(非圧雪の雪面)を滑る感覚・感動を経験したらヤミツキに♪
パウダーランを楽しめるようにゲレンデのコースの一部を圧雪せずに残したり、自然林を整備してツリーランを楽しめるようにしたり、スキー場がオフピステコースを設定するのは近年の流行。完全に手付かずの自然を楽しめるという訳ではありませんが、範囲内は安全を約束されたゾーン。
逆に、スキー場で起こる行方不明者の大半は、管理範囲外のオフピステで発見それています。スキー場が「滑ってよい」としている範囲から外れるのは自殺行為。自分ルールで勝手に楽しむなんて絶対にしないでください。
怪我や事故は未然に防げるものなら防ぎたいもの。自身はもちろんですが、他人に怪我をさせてしまったり、進入禁止ゾーンで行方不明なんて…
スキルを超えたスリルは暴走でしかありません(今回は注意喚起なので厳しく締めます)。